お客様から学ぶ、私の座右の銘
- よりそいコンシェル
- 7月24日
- 読了時間: 2分

介護職として働き始めた25年前、今も心に残っているお言葉があります。当時、舌がんの手術による後遺症で発声が難しい82歳の男性のお客様を担当していました。外見や雰囲気から、その歩まれた人生が想像される方で、気難しいご様子もあり、長く関われるスタッフが少ないと伺っていました。
初めて一人で訪問した日、その方は開口一番、「どうせすぐ辞めるんだろう。あんたは何を学びに来た?」と問いかけてこられました。私はすぐに、「相手を知り、興味を持ち、信頼される
ことが第一で、お客様のこれまでの生き方から学ばせていただく姿勢を大切にしたいです」と返答しました。
するとその方は「確かに正しい。しかし、それだけでは一方通行だ。相手から興味を持たれる人間になりなさい」と言われたのです。当時まだ20代だった私は、すぐにその意味を理解できませんでしたが、その後5年にわたって関わらせていただく中で、次第にその言葉の意味を実感するようになっていきました。

その後、ヘルパーからケアマネジャーとなり、多くのお客様との信頼関係が築かれていく中で、たびたびその方の人生観や「座右の銘」を伺うことがありました。
94歳の男性のお客様は、「泣いて過ごすのも一日、笑って過ごすのも一日」と、一日一日の大切さを教えてくださいました。
また、全盲でひとり暮らしの82歳の女性のお客様は、早くからエンディングノートを作成し、最期まで自宅で暮らしたいという意思を強く持たれていました。訪問者の足音や声の違いで誰かを判断できる感覚の鋭さや、いつも感謝を忘れない姿に、胸を打たれました。「障害があっても、意味のある人生を生き生きと送りたい」という言葉には、どんな状況でも自分らしく生きる力強さが込められていました。
人生の中で、心に残る出会いは多くないかもしれませんが、いただいた言葉の数々は、今も私の心の中で生き続けています。「よりそいコンシェル」でも、こうした出会いや言葉を大切にしながら、誰かの力になれる存在でありたいと感じています。