介護と仕事の両立の裏には…
- よりそいコンシェル

- 5 日前
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今回は、在宅介護を選び、仕事を続けながらお母様との時間を大切にされている方の体験談をご紹介します。「できる限り自宅で寄り添いたい」という思いを抱きながらも、現実は時間とのせめぎ合い。それでも工夫を重ね、試行錯誤しながら日々を乗り越えている姿は、多くの方の参考になると思います。

母との同居が始まったのは約2年半前のことです。実家で父と暮らしていた母は足腰が弱く、介護保険も利用せず生活を続けていましたが、父の「そろそろ介護の力を借りたい」という連絡をきっかけに、手続きを進め始めました。しかしその矢先、状況が急変。兄弟が実家の様子を見に行ったところ、片付けきれなくなった荷物が家に溜まっており、生活が難しい状態になっていたのです。その後、父は急逝し、母も低体温症で入院。これ以上一人で暮らすのは難しいと判断し、認定調査を受け「要介護5」の状態で私の住む地域へ迎えることにしました。
訪問介護やデイサービスを中心にサービス利用の手続きを進めるも、介護サービス受け入れまでの約1か月間は、自室の準備や福祉用具の手配に追われました。母を受け入れるために部屋を整える作業は想像以上に大変で、生活の大きな転換期でもありました。しかし在宅介護を選んだものの、最初の1年は負担が大きく、時には家族に八つ当たりしてしまうほど余裕がありませんでした。
その後、私自身の手術をきっかけにサービスの利用を見直したことで生活が整い、母も穏やかに過ごせています。母が不在になる週末には、孫と出かけたり、介護から距離を置く時間を作れるようになりました。こうした心の余白ができたことで、介護と仕事の両立に少しずつ自信が持てるようになったと感じています。

母は認知症や骨粗しょう症など複数の病気を抱えており、食事づくりは栄養バランスを意識しています。週末に作り置きを準備し、冷蔵庫へセットしておく方法を続けています。調理師の妹が20食分の調理したおかずを冷凍して送ってくれることも大きな助けになっています。
そして、実家にいた頃からよく入れ歯を失くし、歯がほとんど残っていない状態でも歯茎で食事をしていました。認知症への影響を考え入れ歯を勧めていたのですが、落ち着いた時に気持ちを聞いてみると、母は「自宅では外していたい」とのこと。毎日言い合うより、母が安心して過ごせる方を選ぶことで、お互い気持ちが楽になりました。
また、圧迫骨折の影響で長く座れず歩行も難しいため、下着やパッド交換も必要です。朝は私が、昼と夕方はヘルパーさんにお願いし、夜間は数回のトイレに付き添っています。母は穏やかな性格のため、ヘルパーの方々からもとても良くしていただいています。

今でも母を自宅で看取りたい気持ちに変わりはありません。在宅介護は、思っていた以上に気力も体力も必要ですが、家族の理解、様々な介護サービスを利用することで負担を軽減でき、自分の生活も守れるようになりました。
介護は続きますが、完璧を目指さず「手を抜く工夫」も大切だと、今は前向きに捉えられています。




