病気じゃないけどツライ…受診すべきタイミング
- よりそいコンシェル
- 9月11日
- 読了時間: 4分
これまで、更年期は誰にでも訪れるライフステージであり、自覚症状の有無にかかわらず、女性ホルモンの分泌が止まり、その後はホルモンなしの時代に入っていく過渡期であることをお伝えしました。

「病院に行かなくても更年期はいずれ終わる」「時間がたてば治る」と考える方もいますが、それはかなり古い考え方であると強調したいと思います。なぜなら女性の平均寿命は大幅に延び、人生のステージからすれば、更年期は真ん中にあり、これからの長いポスト更年期(老年期)をに備えるための大事な時期なのです。
卵巣機能が低下し、女性ホルモンが減少すると、ホルモンを調整する脳や全身の組織のあちこちが、ギクシャクしてきます。そして、気分の不安定や不眠、自律神経の失調症状、関節の痛みやこわばり、皮膚かゆみや乾燥など、不快な症状が出てきます。単に汗が出るから更年期とは限らず、イライラや倦怠、生活にさしつかえるような不快症状が「あれこれでる」「次々にでる」のが、更年期です。
人と会うのがおっくうになる、眠れないわけでないが何度も目が覚めてしまう、頭痛や胃の不快感が続くなど、「病院に行くほどではないけどなんだかつらい。以前のように元気に過ごせない」そんな症状が多いようです。中には、気分がふさいで部屋に閉じこもってしまったり、家事が手につかなくなる、胸がしめつけられるような感じがして恐怖感で救急車を呼んでしまう人もいます。

婦人科の受診のタイミングは、「以前の生活に比べて質が3割以上低下しているかどうか」が目安です。検診や内科を受診をしても「大きな病気はない」という結果しか出ず、疲労やストレス、加齢のせいと片付けず、ぜひ婦人科の更年期外来を受診してみましょう。まずはかかりつけに相談ですが、医師によっては更年期治療の経験が少ない場合もあります。その際は「生活の質が下がり、自分も家族も困っている」と伝えてみましょう。
特に現代の更年期世代の女性は、仕事や介護など多くの役割を担っています。「死ぬわけじゃないから、そのうち治まる」といった従来の考え方では、とても対応できません。まずは自分自身が「家族や職場にとって大切な存在だからこそ、自分の体調を整えることが周囲のためでもある」と自覚することが重要です。残念ながら、日本の更年期医療や社会的支援はまだ十分とはいえず、諸外国に比べ治療を受ける人も少ないのが現状です。まずは自分の健康管理を優先し、前向きにケアしていくことが大切です。「我慢すること」が美徳ではないのです。
では、どうしたら更年期を乗り越えられるのでしょうか。ポイントは2つあります。
1つ目は「自分に対するケアスキルを磨くこと」。
栄養(タンパク質・ビタミン・ミネラル)を意識した食事、ストレッチや、筋力トレーニングなどの運動、そして、7時間程度の十分な睡眠、そして好きなことを楽しむ時間を持つことです。
2つ目は「かかりつけ医と相談して、医学的に効果のあると実証された薬、漢方、サプリなどを処方してもらうこと」。
いろいろと組み合わせて自分に合った治療を選びましょう。症状の波が大きい数年間をうまく乗り切れば、その後の人生の健康法として「自分のトリセツ」に入れていきましょう。もやもやしているときにかかりつけ医に話を聞いてもらうだけで、自分の体調や生活を客観的に見つめ直すことで、解決策がわかることもありますよ。

私自身は更年期は過ぎましたが、更年期からはじめた「女性ホルモン補充療法」を少量ずつと、お気に入りのサプリ「ITはなびらたけ」「マルチミネラル」などのサプリメントを欠かさず飲んでいます。さらにスクワットとストレッチ、愛犬との散歩、家事、英会話アプリ、患者さんや友人との語らいなど、日々楽しみがあることをありがたく思っています。
女性は更年期をきっかけに老化や病気と向き合うことが増えますが、日々の健康管理を続けていけば、80代でも現役、90代でも若々しく楽しい人生が送れます。今は、そういう時代になったのです。