よりそいコンシェルのセミナーである「介護体験談」では、株式会社ツクイのビジネスケアラーである原 優実さんに語っていただいています。親の介護のことを外に向けて話すことは、決して簡単なことではない中、それを話し始めたきっかけ、そしてどのように心の変化に繋がったのかを伺いました。
家の事情を話すことに対する葛藤と、その転機
―― いつもビジネスケアラー向けに体験談をお話しいただいていますが、家族のプライベートな話を公開するのは勇気がいることだと思います。話すことに対する気持ちの変化や、話してもいいと思うようになったきっかけは何ですか?
実は、最初はあまり話したくなかったです。家のことを公にするのは、やっぱりちょっと抵抗がありました。でも、本当に話さなきゃいけないと思ったのは、外部でのセミナーがきっかけでした。そのセミナーは経済産業省が主催する“保険外事業を考える会”に参加したことから始まりました。当時すでにビジネスケアラーだった私は、「介護保険じゃ私たちは救われないんです!」とストレートに話したところ、その場にいた方に「原さん、ぜひ体験談のセミナーをやりましょう!」と言われて。最初は戸惑いましたが、介護のことを話す上で避けられないポイントに気づいたり、自分の家族のことを話すことの意義が見えてきたりしました。親が認知症になったことを今では普通に話していますが、当時は本当に話すのがつらかった。だから、セミナー直前までずっとモヤモヤしていましたね。
―― 多くの葛藤があった中で、セミナー後に気持ちが変わってきたとのことですが、参加者の反応が影響したのでしょうか?
はい、参加者の温かい反応には本当に驚きました。「涙が止まりませんでした」「私も同じ経験があります」など、多くの方が共感してくれました。正直、セミナー前は、ただ私の家族の話をして何になるのかなと思っていたのです。けど、終了後に皆さんからのコメントを見て「あ、私も!私も同じ!」と感じる瞬間がたくさんありました。それが私にとっても救いになったんです。同僚(介護のプロ)に話を聞いてもらったときもそうでしたが、介護をしている同じ境遇の人と話すことが、こんなにも心を軽くするのだと実感しました。そこから、私も話し続けようという気持ちが強くなりましたね。
―― 最近、初の海外出張(ベトナム)をされたそうですが、介護と仕事の両立についてどのように感じましたか?
海外出張中は、よりそいコンシェルのおかげで完全に仕事に集中することができました。普段から気軽にコンシェルジュに相談できる安心感がありますが、今回はベトナムですから、何かあったらどうにもならない状況。それでもコンシェルジュがしっかり親の様子を報告してくれたので、安心して仕事に集中できました。「大丈夫ですよ」という報告が、私にとって大きな支えになったのです。
―― その時、「ハートナー訪問」を利用されたとのことですが、いかがでしたか?
そうなんです。ベトナムにいる間、2回ほどハートナー訪問サービスを利用し、様子を見に行ってもらったり、少し体を動かしてもらったりしました。自分がいない時でも親の状況が把握でき、柔軟に対応してもらえるのでき安心しました。介護保険ではどうしてもお願いできない、特にケアラーが助かるサービスだと実感できました。
―― 海外出張をきっかけに「電話サポート」の重要性も感じたとか?
はい。親はメールやLINEができないので、訪問サービスの時間変更を電話するタイミングがなくて困りました。そうした時に、電話サポートサービスの必要性をより一層感じたんです。出張の時にはなかったサービスなのですが、今ではサービスが開始されています。
ビジネスケアラーとしての葛藤と成長
―― 介護と仕事を両立する中で、最も大変だったことは何ですか?
ビジネスケアラーとして4年経ちますが、自分のペースをつかむまでが大変でした。今は大変さを10段階の「3」くらいと感じていますが、初めは「9」「10」くらいの大変さでした。自分なりの対処法を見つけるまで、孤独感に悩まされていました。兄弟がいないこともあり、一人で全部抱え込んでしまったんです。本当は仕事をしたいのに、介護に時間が取られてしまうという被害者意識が強くなっていましたね。でも今は、自分の時間を作る方法を見つけました。例えば出張の時には、誰かに任せるという考え方ができるようになったんです。
―― 今後、介護がさらに大変になっても、以前のような辛さは感じないと思いますか?
はい、そう思います。よりそいコンシェルの存在が大きいですね。ケアマネジャーさんには両親の介護に関することは相談できても、自分自身のことまでは相談しづらい。でも、よりそいコンシェルは私のことまでしっかり考えてくれるんです。兄弟がいる方でも、介護に関しては話しにくいと感じる人も多いので、そういう意味でも本当に助かっています。
よりそいコンシェルがもたらす安心とサポートの価値
―― よりそいコンシェルを利用して、良かったことは何ですか?
自分の時間を確保できるようになったことが一番大きいです。介護のために仕事を休まなければならない時があったんですが、今は頼れる人がいるので、その負担が減りました。両親のために全てを合わせていた時は、正直なところ、辛く感じることも多かったです。
―― 自分の時間が増えたことは大きいですね。介護は一人で抱え込みがちですが、他の人に頼るのも大切ですね。
本当にそうです。実際、先日海外出張から帰ってきた時、疲れ果ててしまい、予定していた母のもとに行けませんでした。でも、ハートナーさんをお願いしていたので、母も安心してくれて、私も助かりました。母もハートナーさんの訪問を楽しみにしていて、まるで友達が来るような感覚で待っているんです。
―― ハートナーさんの存在が、お母様にとっても大きな支えになっているんですね。
そうなんです。介護保険で利用しているヘルパーさんも素晴らしいんですが、介護保険内のサービスはどうしても制限があり、その枠を超えることは難しいです。でも、よりそいコンシェルはその枠を超えて、私が求める広い範囲のサポートを提案してくれます。友達に話しても、ただ聞いてくれるだけのことが多いですが、よりそいコンシェルは「では、こうしてみませんか?」と単に聞いてくれるだけじゃなく、解決策まで一緒に考えてくれるのが違うところです。
―― よりそいコンシェルは、ただ寄り添うだけでなく、具体的な解決策を提示してくれるところが大きいですね。最後に、ビジネスケアラーとしての今後の展望を教えてください。
これからも、介護と仕事の両立に悩む方々に共感してもらえるような話を続けていきたいです。一人でも多くの方が、「私だけじゃないんだ」と感じて、少しでも心が軽くなる時間を提供できればと思っています。もちろん介護がまだまだという方にも、これからの準備として聞いていただくことも価値があると思っています。介護の経験があったからこそ、体験談を話す機会があり、このサービスにつながったと感謝していますし、これからも在宅介護の可能性を広げるためにはよりそいコンシェルのサービスを充実させていきたいです。これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします!
原さんが語る介護体験談には、ご自身で感じた葛藤や苦しみ、そしてその中で得た気づきと共感の力が詰まっています。「よりそいコンシェル」はビジネスケアラーのみなさんが、自分らしい働き方と介護の両立を実現できるように今後もサポートを続けてまいります。